キューバン・サルサDJのお気に入りCD紹介 シンゴ&ヒメのCuban Salsa

お気に入りCubanSalsa紹介

Cuban SalsaDJのお気に入りアルバムを紹介。

05年1月 "Versos En El Cielo"

artist: Issac Delgado

versos.jpg実は2002年初頭発表のアルバム。発売直後に入手してちょっと聴いて、あまりピンとこなかったので3年放ったらかしてました。すみません。イサックがパワフルTimba路線だた時代からのファンだったので、このアルバムを最初に聴いたときは、全体的に地味でおとなしく、退屈なものに聴こえていました。ところが最近ふと聴き直してみて愕然。音楽的にとんでもなくアグレッシブですよこれ。

踊りのリズムが強烈なキューバ音楽の中で、踊りを離れて、ギター一本でポエムを曲に乗せて歌うヌエバ・トローバって音楽があります。ちょうどキューバ版の「フォーク」ですね。このイサックのアルバムは、そのヌエバ・トローバを局所に取り入れ、サルサの世界でイサック流に調味しているといったところ。アレンジにはもともと洗練系サルサ(?)で人気の高いJoaquin Betancourt、Juan Manuel Cerutoを迎え、歌詞だけでなく曲調にも、詩的な要素をちりばめた音作り。ベースはDLGを始めNY系サルサの売れっ子、Ruben Rodriguez。ピアノは若手ジャズ系の先鋭、Roland Ruba。声だけでなく、サウンドもとてもシルキーでスムーズ。パワーよりクオリティ、踊ることより「聴く」ことを重視している作品ように思えます。一聴すると、ただのおとなしめのサルサに聴こえてしまったのだけれど、よくよくしっかり聴き込んでみると、ただの「爽やか」とは違う、じっくりとした深みが伝わってきます。

例えば映画やテレビのスターって、その人を見ているようで、その人の「イメージ」を見せられている。そのスターを、どんな監督がどんなストーリーのどんな役で見せるか、によって、大きく感動が変わってくる。音楽でも同じように、ソロ歌手のアルバムって、プロデュースやディレクションを誰がやってるか、がものすごく重要だと思います。イサックは、そのユニークな声質が特徴として見られがちだけど、実はこの「自分を活かす布陣づくり」がものすごく上手なんだと思う。僕がイサックを好きな理由、そして世界での人気の秘密は、実はこの辺が大きいと個人的には思っています。

このアルバムが好きなのは、Salsaをダンス音楽としてだけでなく「聴く」音楽として発展させよう、という意思を感じるから。このアルバムの選曲や人選も、彼のそういうはっきりとしたコンセプトに基づくものだ、と想像してます。

強烈な刺激を期待するのではなく、長くゆっくり味わってほしい一枚です。

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