お気に入りCubanSalsa紹介
Cuban SalsaDJのお気に入りアルバムを紹介。
04年9月 "De Vacasiones"
artist: Vocal Sampling
(AMCY 2285)このコーナーでは久々の“ベタ”なチョイス。
エリック・クラプトンや、クインシー・ジョーンズも絶賛の、世界的にも有名なグループです。
今ではすっかりキューバ音楽のいちジャンルとして確立した感のある「Cuban Vocal」。
そのパイオニアである彼らの、2枚目のアルバムです。('96年制作)
ご存じない方のために説明すると、Cuban Vocalって、
アカペラで(一切楽器を使わずに)
人間の声だけでキューバ音楽をやる、ってこと。
今でこそ、このひとたちの大成功に追随するように、
もっと人数を減らしたグループや、増やしたグループ、
(Vocal Samplingは6人)
女声を交えて教会音楽の様なハーモニーを醸し出すグループなど、
そのスタイルも、アーティストも多種多様に増えてきていますが、
人気、知名度、音楽性、アイデア、
なにをとっても、
オリジネーターの彼らが、いまだにやはり一番だと思う。
たった6人のグループですが、
彼らも他の多くの大編成バンドと同じように、
アルバムごとにメンバーチェンジを繰り返し、
その結果、その時期その時期ごとに、
少しずつ印象も変えてきています。
もちろん、音楽性や取り組むテーマも、
毎回変えてきていてはいますが、
たった6人のグループで、
しかも、その人が持って生まれた声のみの編成。
通常の楽器のバンドよりも遙かに、
その時のメンバーの顔ぶれが、
グループ全体の音を左右する割合も大きいのだと思う。
日本へも何度も来日していて、
僕は、初回来日時の'97年と'03年の二回を見ているのですが、
初めて観た衝撃を差し引いたとしても、
このアルバムレコーディングメンバー&レパートリーの’97年公演は強烈でした。
歌唱力はもちろん、通常のボーカリストより更に、
高度な音程感やリズム感が要求されるアカペラですから、
どの時期のメンバーも、スバラシイのですが、
特にこのアルバム時のメンバーは絶品。
中でも、Drumsやリード&バックボーカルパートを受け持つ、
Carlos Diazというひと、このひとが参加していたのは大きいでしょう。
(ページ下のジャケ写真左から2人目。髪型のセンスはどうにかしてほしいけど…)
見に行った'97年渋谷でのLIVEでは、
(当時テレビでも一部放映されていました)
中でもこのひとの、合計10分以上にも渡る、
『くちドラム・ソロ
&Abel Sanabriaのくちパーカッションとのソロ・バトル』
(割り箸によるプチ・チャンバラ付き)
コーナーには、かなり圧倒されました。
作曲&アレンジとしても、全体の1/3以上の曲にクレジットされているあたりからも、
きっと当時のグループ内で、リーダーの右腕的な存在として、
音楽的にも大きな戦力になっていたのだと思います。
ちなみにこのCarlosさん、
このあと、メンバーの内2人を引き連れてVocal Samplingを抜け、
新たにVocal LTというアカペラグループを結成します。
そこではもちろん積極的に自分の音楽性を前面に打ち出し、
また新しい曲調にもチャレンジしていますが、
ちょうどCharanga Habanera とCharanga Foreverのように、
分裂類似グループ特有の「二番煎じ臭」は否めないところ。
個人的な印象では、逆に、Vocal Samplingの「本家」感が強まりました。
Rolling StonesやBeatlesに代表される様に、
複数の才能の足し算によって作られる、多くのロック系バンドとは違い、
キューバのグループというのは、こんな小さな編成でもやはり、
最終的な良し悪しというのは、花形選手ではなく、
バンド・リーダーによって決まるのだな、と実感。
かのチャランガ・アバネラのリーダー、David Calzadoも、
「キューバのオルケスタは、メンバーの質に影響されない。
Charanga Habaneraとはつまり、僕の頭のことなんだ。」
と言っているのも納得。
僕の知る限りでは、おそらく、
「アカペラ+キューバン」という音楽を始めたのは、
このVocal Samplingが最初。
ってことはつまり、リーダーのRene Ban~osさんが、
(ジャケット一番右。首が長い)
このジャンルの創始者でしょう。
何についても、一番最初に考えて、一番最初に始めたヤツは強い!というか。
多くの後発Cuban Vocalグループが台頭してくる中、
現在のVocal Samplingは、勢い自体はおとなしくなった感じもありますが、
メンバーは入れ変わり続けても、
彼らはやはりいちばんの「メジャー」「本物」的存在。
それはつまり、創始者のReneさんが居る、というのが大きいのでしょう。
このアルバム時は、スポットライトを他の花形選手に譲って、
リーダー的役割に徹していたReneさん自身も、
'03年公演では、ジミー・ヘンドリックスばりの、
『くちディストーション・ギターソロ』で、
個人的な実力を披露していました。
そんな大物グループに、そんな芸達者たちが揃っていた時期のアルバム。
1枚目のアルバムで「アカペラでキューバン」という衝撃的スタイルを表し、
段々と世界的にも知名度が上がってきた頃の勢い。
そして、普通のキューバの曲だけでなく、
「声だけで、こ~んなこともやっちゃいまっせ!」
というアグレッシブなアイデアとテンションが、
みなぎっています。
(ラップと合わせてスクラッチ音まで、生の声でやっちゃったりね)
曲調としても、
いつも通り、オーソドックスなキューバンチューンから、
Pops的要素を大胆に盛り込んだ曲や、Timbaっぽいアレンジの曲、
メレンゲからボレロまで、バリエーションも幅広く、そして何より、
一枚のアルバム全体として、
ラテン好き以外の耳にも、とても親しみやすい作品です。
Cuban Vocalの一番の好アルバムとして、
どんなひとにもシンプルに楽しんで欲しい一枚。

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