お気に入りCubanSalsa紹介
Cuban SalsaDJのお気に入りアルバムを紹介。
04年8月 "A Lo Cubano"
artist: Orishas
(Universal Latino B00004YWYO他 )"Latin Hip-Hop"って言葉、良く目にします。
で、実際聴いてみるとどうか?って言うと、
そのほとんどは結局、
「スペイン語でラップしてるだけのヒップホップ」、
音楽的に果たしてどこまで「Latin」か?と言うと、
少なくとも普段ラテンを好きで聴いている者には、
「どこが“Latin"じゃい!?」
と思えてしまうものが多いのではないでしょうか?
キューバ本国の若者の間でも、
最近にわかに盛り上がってきたキューバン・ヒップホップ界、
でも、その多くは残念ながらやはりその例にもれず。
365日、街角のどこでも「サルサ!ティンバ!」責めの彼らにしてみれば、
今までと全く違ったリズムで、しかし自分たちの言葉で、
都会的なカッコ良さを見せてくれる、地元ヒップホップアーティストは、
とても斬新で新しいものに見えるのかも知れません。
が、その彼らには新鮮な「アメリカから来た音楽」の方が、
むしろ日常耳にすることが多い国に住む、僕などからしてみると、
普段ありがたがって好んで聴いている「キューバらしさ」を、
わざわざ削っているようにしか聞こえないんだなこれが。
つまり
「彼らにとって新しい音」
↓
「今までのキューバらしく無い音」
↓
「よりアメリカのアーティストに近い音」
↓
「じゃ、アメリカのHip-Hop聴いた方がいいや」
…という流れになりがち、みたいな。
確かに、キューバンヒップホップなる物が芽生え始めた90年代終盤から比べれば、
最近の作品は、日本のヒップホップシーン同様、
トラックのクオリティーもラップのスキルも上がってきているのは、
門外漢の僕でもわかるのだけど。
そっちの「アメリカ式Hip-Hop」を目指し、
どんなに音をガチガチに作り込んだところで、
結局、ただでさえ物質不足の国。
最新のテクノロジーと大金をかけて、
大量の競争率を勝ち抜いて作られて来る本家アメリカ産にかなう訳がない、
という感じがします。
今年始め、ハバナで行われた、
キューバン・ヒップホップ・アーティスト達が一同に会するイベントを見てきた
とある知り合いの言葉を借りると、
「“Habana! Habana!”って叫んで盛り上がってても、
私には“い~な~か!い~な~か!”としか聞こえない」、
そう、結局「田舎臭い」んですよ残念ながら。
一生懸命アメリカの真似をすればするほど。
そんな中、
キューバン・ヒップホップ界の雄と呼ばれたこのOrishas。
彼らが、他と違うと思うのは、
音楽的にもキューバ人らしさを殺さないヒップホップ。
アメリカの影響を受けながらも、同じ方向を目指さない音楽性。
と言えばいいかな。
ヌエバ・トローバや、カンシオン、ジャズなど、
キューバには、世界的にも愛される優れた音楽がたくさんありますが、
やはりダンスをきっかけとして、Son、Salsa系から入った身として、
キューバ音楽の一番の魅力はその洗練されたリズムにあるように思います。
プログラミングを中心とするHip-Hopのリズムトラックは、
それはそれでカッコ良くて大好きなのですけど、
やはり、複数の生パーカッションが複雑にからみあって織りなす、
音楽的にリッチなキューバのリズムを、
いきなり「それっぽい」Hip-Hop調ウチコミドラムに置き換えてしまうと、
どうしても単調に聞こえてしまう。
ラップの高速なスペイン語や、隠語、風刺、ダブルミーニングなどが、
もっとリアルタイムで理解できるだけのスペイン語力があれば、
また違った楽しさも見つけられるのかも知れないのだけれど。
彼らの優れている点のひとつは、
そのHip-Hopの美学から外れないで、
キューバ音楽の魅力を前に出すことに成功している、
と言えるかも。
Timbaバンドでも(最近は少人数Sonバンドでさえも)、
やはり、Hip-Hopの影響で、
曲中にラップの部分を取り入れる、ってのは良くあるパターンですが、
それってあくまで、生楽器伴奏+歌手、
「サルサ(ソン)バンド」の方程式の枠の中で、
という感じだと思う。
それに対しての彼らOrishasの音は、同じ「キューバンリズム+ラップ」としても、
やはり、発想法が「生バンド基本の人達」とは明らかに違う、というか。
リズムはキューバンの影響が強いのに、
それでも出てくる音の印象はやはり“Hip-Hop”なんだよなぁ。
Hip-Hopのトラックでは、よく使われる音色ばかりなのに、
「ウチコミドラム+最小限のパーカッション+ベースライン」
のパターンを変えるだけで、
逆にこれだけ「キューバっぽさ」が出せるものだとは思わなかった!
音はいわゆる「ヒップホップ」でも、
いかにも、なキューバらしいコーラスも相まって、
これは、どうやっても逆にアメリカ人には作れない音楽、哀愁。
彼らがヨーロッパなどでも人気なのもわかります。
キューバの「田舎臭い」音楽性を、正面から積極的に取り入れる彼らの方が、
その「田舎臭さ」を消そうとする他の多くのアーティスト達より、
キューバ人以外の耳にはむしろ「都会的」に聞こえる、というか。
彼らはこれまで通算2枚のアルバムを出しているはずですが、
ここでは衝撃だった2000年作デビューアルバムを紹介。
どちらも、純粋に「キューバ音楽のひとつの形」として、
ヒップホップファン以外にもオススメできます。
Sonベースのトラックも多いので、
普段のサルサのペアダンスも踊れちゃうんだな。
僕のイベントでもかけてます。
「普段とは違った雰囲気で踊りたい」なんて時にはオススメの一枚です。

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