お気に入りCubanSalsa紹介
Cuban SalsaDJのお気に入りアルバムを紹介。
04年7月 "Fantastica Presenta Charanga Forever"
artist: Charanga Forever
(FMS 116)「キューバには、二つの“チャランガ”があります。
ひとつは“チャランガ・アバネラ”、
もうひとつは“チャランガ・フォレベル”です。」
この春キューバに行ったとき、ハバナの街角で、
ひょんな事からチャランガ・フォレベルのメンバーに話しかけられた。
その時彼が、自分のバンドを説明した言葉がこれ。
キューバ好きの間では、
もう既に知らない人はいないであろうチャランガ・アバネラですが、
初心者向けCDコーナーにも書いてある通り、実は活動10年を超える老舗バンド。
その間何度もメンバーチェンジを繰り返して今に至るわけですが、
大きく分ければ、現在のバンドは'99年に出来た第3世代目にあたります。
その前にあった第2世代のメンバーの時代に、
「コンテンポラリー・キューバン・サルサ」バンドとして、
はっきりと人気を確率したと言えると思いますが、
そのメンバーは、'99年、一度にごっそりまるごと脱退し、
そのほぼ全員がそのまま、別の「チャランガ」として作ったバンドが、これ。
「チャランガ・フォレベル」。
つい最近リリースされた新作を含めると、
現在までに彼らは3枚のアルバムをリリースしていますが、
ここでは、敢えて一枚前のセカンドをチョイス。
だってぇ〜、あのミチェル・マサ様が参加なさっているんだものぉ〜♪
第2世代チャランガ・アバネラの顔として、一斉を風靡した彼、
(大ヒット曲"Lola, Lola"も彼のリード)
総脱退時にも唯一、新チャランガ・アバネラに残りましたが、
まもなく脱退。
既に活動を開始していたこちらに合流して、録音したのがこのアルバム。
で、やっぱりいいんスよ、彼が入ると!
彼の魅力については、別のところにも書きましたが(※Salsa120%誌Vol. 70参照)、
リードボーカルとしてももちろん、
コーラスの中ですら、彼の声が混じるだけで、
「ローヤルゼリー配合」というか。
独特の「ワルさ」が加味されて、
どんな曲調も、一気にパワー感大幅アップです。
この録音の後、彼はフォレベルをも脱退し、
自身のグループ、「MIchel Maza y su Tentacion」を結成、
現在はそのグループでの活動をベースにしているのですが、
生来の不良歌手には、
「ソロ歌手とそのバックバンド」と言う形より、
「バンドの中で一番尖ったひとつの部品」という形の方が、
その力量を発揮できる気がしてなりません。
これは、今年、初ソロアルバムも発表した彼の、
そういう「いちメンバー」として残した、おそらく最後のアルバムになるのでしょう。
デビュー作、最新作合わせ、
チャランガ・フォレベルの3作品は、それぞれどれもお気に入り。
前作、"La Charanga Soy Yo"(俺がチャランガだ!)に続き、
このアルバムでも「キミが知ってるチャランガは僕らだよ」と、
カニ○楽vsカニ将○的「本家・元祖闘争」をまだひきずっているのが、
若干うるさいものの、
旧チャランガ・アバネラ時代の爆弾、ミチェルを擁した、
今作のパワー全開感は、前後の2作とはまた違ったものです。
自分以外のほぼ全てのメンバーに抜けらるという危機的状況の後、
リーダーであるダビ・カルサードの不屈の闘志で、
ふたたびその形をなした新チャランガ・アバネラ。
災い転じて福となす。
普通ならパワーダウンでしかありえない、その衝撃的事件を
むしろ新しい形へ脱皮するきっかけとして、うまく利用し、
天才パーカッショニストのユリアン・オビエド(加入時16歳!)を始めとする、
若い世代の新しい顔ぶれを武器に、
当時人気の絶頂にあったそのサウンド自体を、いさぎよくきっぱりと捨てて、
それまでとはっきり変わった新しい音、方向性を作り出すことで、
逆に、それ以前と変わらぬ人気を保ち続けて現在に至ります。
その脱皮された「皮」にあたるこちら、チャランガ・フォレベルの方がむしろ、
それ以前の旧チャランガ・アバネラの音楽性、方向性を受け継ぎ、
それを、創始者のダビさん抜きでそのまま発展させている、という感じ。
「あの時あの人と別れなければ、今頃はきっとこんな家庭を築いていたはず…」
という音と言いますか。
“アグレッシブな音”と言う意味では共通する両者の音楽ですが、
新チャランガ・アバネラが、よりキレイにカッコよく、
いわばアイドル的な方向へ洗練されることで進化を遂げたのに対し、
彼らは
「濁ったドス黒さ」加減を保って、発展しようとしている感じ。
どちらも今は、はっきり違ったカッコ良さで、それぞれ大好きなのですが、
旧チャランガ・アバネラのギリギリ末期に、キューバ音楽にハマった身として、
やはりこのチャランガ・フォレベルがいまだに醸し出してくれる、
当時の「濁った感じ」「“悪い”ヤンチャさ」には、
古くさいとわかっていても、抵抗できない魅力を感じます。
フィルターで濾してしまう前の、原液の「しつこさ」というか。
ちょっと鼻につくけれど、この匂いが好きなのさ!
これから更にメンバーが替わっていっても、
ずっと、その匂いを引きずって欲しいものです。
あっちが白米なら、こっちは玄米。
あっちがイクラなら、こっちはスジコ。
あっちが蒸留酒なら、こっちはどぶろく。
あっちが加勢大周なら、こっちは新加勢大周だ!
…いや、最後のは逆かな?

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